Googleが何も発表していない日に、検索順位は大きく動いていた——2026年7月の変動から考えるSEOの見方
7月、Googleは特に何も発表していなかった。少なくともSearch Status Dashboardを見る限り、コアアップデートでもスパムアップデートでもない。
ところが、検索結果はかなり動いていた。
株式会社ディーボが順位変動計測ツール「namaz.jp」で2026年1月1日から8月20日までを分析したところ、7月21日の変動指数は23.4だった。今年に入ってから最も大きな数字だという。namaz.jpでは14以上を「大変動」としているので、かなり高い。しかも、5月に始まったコアアップデートが終了したあと、6月11日に記録された21.9よりも大きい。
この数字を見ていて、少し気になった。
SEOの仕事をしていると、Googleのアップデート情報を追うのはほとんど習慣になる。私もクライアントの順位やSearch Consoleに大きな変化が出れば、まずSearch Status Dashboardを確認する。コアアップデート、スパムアップデートが始まっていないか。何も出ていなければ、今度は海外の順位変動ツールなどを見る。
ただ、そうやって「Googleが何を発表したか」から考える癖がつきすぎると、逆に見えなくなるものもあるのではないか。今回の7月の数字は、そんなことを考えさせるものだった。
2026年Googleは何を発表してきたのか
まず、今年の動きを簡単に整理しておきたい。
2026年は3月27日からMarch 2026 core update、5月21日からMay 2026 core updateが実施された。スパムアップデートは3月24日、6月24日、8月18日に開始されている。3月は約19時間30分、6月は約2日1時間、8月は約2日16時間で終了した。8月までですでに3回だ。
アップデートが多い年だと感じている人もいると思う。ただ、この公式の履歴だけを見ていると、7月には何もない。そこが今回の話の肝になる。
年内最大の変動には名前が付いていなかった
namaz.jpでは、7月中旬から下旬にかけて大きな変動が何度も観測されている。そして21日に23.4まで上がった。
6月後半ならまだ分かる。6月24日からスパムアップデートが始まっているので、少なくとも時期としては重なる。だが、7月はそうではない。Googleから大きなランキングアップデートの発表は出ていない。もちろん、だからといって、「Googleが7月に何かを隠していた」という話ではない。そこまで言えるデータではない。namaz.jpが計測しているキーワード群で、検索順位の入れ替わりが非常に大きかった。確実に言えるのはそれだけだ。
Googleのランキングシステムは常に何らかの調整が行われているし、検索結果が動く理由も一つではない。競合サイトが変わることもあれば、検索意図に対するSERPの構成そのものが変わることもある。だから、「7月に非公式アップデートがあったか」を追及することには、私はあまり意味を感じていない。それよりも、公式アップデートの履歴だけを追っていても、実際の検索結果の変化は全部説明できない。この方が、実務では重要だと思う。
アップデートが終わっても順位は落ち着かない
5月のコアアップデート後の動きも面白い。May 2026 core updateは5月21日に始まり、11日と21時間で終了している。日本時間では6月3日頃だ。
ところが、namaz.jpではその後も変動が続き、6月11日に21.9を記録している。コアアップデートが終わってから9日後だ。6月の月間平均も20.6だった。この6月11日のピークは、6月のスパムアップデートが始まる13日前にあたる。つまり、「6月後半はスパムアップデートで説明がつく」と先に書いたが、6月前半のこの変動には、まだ公式な説明がない。7月だけでなく、6月前半にもすでに、名前の付いていない変動があったことになる。
こうした数字を見ると、「アップデートが終了した」というGoogleの発表と、「検索順位が安定した」という状態は、別に考えた方がいい。当たり前といえば当たり前なのだが、実際の相談ではここが混ざることがある。コアアップデートが終わったのに順位が戻らないのかという話だ。
しかし、そもそも戻るものなのか。アップデート前の順位が正しかったと考えていいのか。競合側が上がった可能性はないのか。検索結果自体が変わっていないか。まずそこを見ないといけない。Googleがロールアウトの完了を発表した翌日から、順位がぴたりと固定されるわけではない。
BtoBも思ったほど静かではなかった
今回の調査ではジャンル差も出ている。
直近1年間の平均では、就職・転職が22.2で最も高く、財務・金融・法律は8.3。約2.7倍の差がある。このあたりは理解できる。順位が激しく動く領域と、比較的落ち着いている領域があるのは以前からそうだ。
少し意外だったのはBtoBだった。7月17日から25日の変動期を見ると、就職・転職は32.6、住宅・引越しは29.8、暮らし・結婚・恋愛は29.2。BtoBは22.2なので、絶対値ではそれほど高くない。ただ、比較的静かだった4月は9.6だった。2.3倍になっている。今回比較されたジャンルの中では、伸び率は最も大きい。だからといって、BtoBがアップデートの影響を受けやすくなったとまでは言えない。
ここは分けて考えた方がいい。
どのサイトが上がったのか。どのサイトが落ちたのか。何が評価されたのか。そこまでは、このデータでは分からない。ただ、「BtoBだから順位はそれほど動かないだろう」という前提も、あまり置かない方がいいのだろう。
SEOをやっていると、こういうところで数字を読みすぎてしまうことがある。変動が2倍になった。だからアルゴリズムが変わった。この要素が重要になったと思いがちだ。しかし、そこまで一気に進むのは危ない。数字が示しているところまでを見る。それ以上は、別の材料が必要だ。
順位が落ちると何かをしたくなる
これは私自身も分かる。順位が急に落ちると、何かをしたくなる。タイトルを直したり、記事を追記したりしたくなるものだ。場合によっては、この記事はもう消した方がいいのではないか。相談を受けていても、こういう話にはなりやすい。
ただ、大きな変動が起きている最中ほどすぐに触らない方がいいこともある。その下落が、自分たちのサイトだけで起きているのか分からないからだ。
検索結果全体が大きく揺れている日に10位から20位へ落ちたのと、ほとんど何も動いていない日に10位から20位へ落ちたのでは、同じ10順位でも意味が違う。前者なら、まず周囲を見る。競合も落ちているのか。SERPの顔ぶれが大きく変わっているのか。数日で戻る動きなのか。後者なら、自サイト側をもう少し疑う。ここを分けないまま記事を修正すると、あとで余計に分からなくなる。順位が戻ったとしても、事を直したからなのか。Google側の変動が収まったからなのか、競合が落ちただけなのかは判別できない。
SEOでは変更することばかりが施策ではない。しばらく触らずに見る、という判断も実は大切な施策と言える。
順位より先に変化の範囲を見る
私たちが順位変動を見るときも、いきなり記事を読むわけではない。まず、どこまで動いているのかを見る。サイト全体か、一つのディレクトリか、数本の記事だけか、それともブランド名を含む検索にも影響が出ているのか。加えて、Discoverなのか通常検索なのか、でも状況が変わる。
canonicalやnoindex、robots.txt、内部リンク、構造化データ、テンプレート、JavaScript、サイトマップ……、最近、大量にページを追加したり削除したりしていないかなど、意図していない変更が入っていることもある。実際、これまで支援先を見てきた中でも、コンテンツ以前のところに問題があったサイトは何度もある。canonicalや構造化データの出力方法がおかしくなっていて、検索エンジンがページを安定して認識しにくくなっていたケースもあった。
その状態で記事をリライトしても、順番が違う。以前このコラムでも書いたが、SEOの問題は記事の中だけにあるわけではない。
普段を知らないと異常も分からない
結局、順位変動を見ているといつもここに戻る。
普段からサイトを見ておくしかない。検索順位だけではない。Search Consoleの表示回数やクリック、クエリ、ページごとの動き、クロールやインデックスの状態、競合、そしてサイト側で何を変更したのか。定点で見ていると、「いつもと違う」が分かる。
例えば検索流入が20%落ちたとする。20%だけ見ると大きい。ただ、月によって10%程度上下するサイトなら、そこまで異常ではないかもしれない。
一方で、ほぼ横ばいだったサイトが突然20%落ちたなら話は違う。サイト全体はマイナス20%でも、実際には一つのカテゴリだけ40%落ちていることもある。順位は変わっていないのにCTRだけ落ちることもある。そうなると、検索結果に別の要素が増えた可能性も考える。
数字は原因そのものではない。どこを見るかを教えてくれる材料だと思っている。
AI検索が増えるとさらに見えにくくなる
この話はAIOにもつながる。
生成AIやAI検索が増えてくると、「順位が何位だったか」だけではますます状況が分からなくなる。順位は変わっていない。でもクリックは減っている。サイトへの流入は減っているのに、指名検索は増えている。あるいは、AIの回答には自社の情報が使われている。
これらは同時に起こり得る。だからヴィヴァルディ・インクでは、SEOとAIOを完全に別のものとして扱っていない。
検索エンジンからどう認識されているのか、サイトの構造に問題はないか。コンテンツに何が書かれているか。生成AIからどう参照されているのか。そして、最終的にユーザーが何をしたのか。
見る場所は増えたが、対象は同じサイトだ。どこか一つだけ見て原因を決めると、判断を間違える。
Googleが発表してから見るのでは遅い
8月18日には、GoogleがAugust 2026 spam updateを開始した。8月21日に終了している。こういう公式情報は、もちろんこれからも確認する。ただ、今年の動きを並べてみると、それだけでは足りないこともよく分かる。
Googleが何かを発表したからサイトを見る。アップデートが終わったから結果を確認する。それだけだと、どうしても後追いになる。普段から見ていれば、そのサイトにとって何が普通なのかが分かる。
どこが弱いのか。どのページ群が伸びているのか。どこから変化が始まったのか。そういう基準があれば、順位が大きく落ちても、とりあえず全部書き直す、という判断にはなりにくい。必要なところだけを見ることができる。
2026年最大の順位変動が、Googleから特に発表のなかった7月に観測されたことから私が考えたのは、「非公式アップデートにも注意しよう」ということではない。Googleが何をしたのかを当てることより、自分たちのサイトで何が起きているのかを把握する方が重要なのだと思う。
ヴィヴァルディ・インクでは、SEO・AIOの支援で、検索順位やSearch Consoleだけではなく、クロールやインデックス、内部リンク、構造化データ、コンテンツ、実装まで一緒に見ている。
順位が落ちた。アクセスが減った。アップデートが終わっても戻らない。
こういうとき、原因は一つとは限らない。検索市場全体が動いているのか、自分たちのサイトだけに問題があるのか。まず、そこを分ける必要がある。
自社だけでは判断がつきにくい場合は、ヴィヴァルディ・インクにご相談いただきたい。
参考: 株式会社ディーボ「2026年のGoogle順位変動を実測データで振り返る|年内最大の変動は“非公式”の7月だった」
