2026年9月のスパムアップデート、メディアが見誤りやすかった三つの数字

2026年9月のスパムアップデート、メディアが見誤りやすかった三つの数字
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日本時間、9月25日の午前1時15分。Googleが「September 2026 spam update」の展開を始めた。

終わったのは10月8日の夕方だった。

13日と16時間。

今年のスパムアップデートはこれで4回目になる。3月は19時間30分、6月は2日と1時間、そして8月は2日と16時間で終わっている。

今回だけ、桁がひとつ違った。対象は全世界、すべての言語だった。しかし何を狙ったのか、Googleは説明していない。

二週間あれば、数字は何度でも動く。順位が落ち、Discoverが消え、でも翌日に戻り、そして週末また落ちる。

そのたびに、原因はアップデートだということになる。

今回の二週間に限れば、その判断はかなり危うかった。落ちて見えた数字の中に、性質のまったく違うものが少なくとも三つ混ざっていたからだ。

波は三度来た

Search Engine Roundtableの観測では、大きな変動は三回あった。

9月25日から27日、9月30日前後、そして10月4日から6日だ。

Googleが段階的な展開を認めたわけではない。外から検索結果を見ていた側の記録である。

それでも、最初の下落を見て「底を打った」と判断した運営者は、少なくとも二度、読みを外したことになる。

一つ目の数字 本当に落ちた検索流入

変動の大きさは、データにも出ている。

Diibは、Google Analyticsと接続された34,597サイトを対象に、アップデート開始前の14日間と、開始後の9月24日から10月6日までを比較した。

Google検索からの訪問が半分以上減り、それ以外の流入はほぼ平常どおりだったサイト。その割合が5.8%あった。アップデートのない週では1.3%。今年の他の6つのアップデートでも、1.0〜1.5%に収まっている。9月だけが、4倍を超えていた。

この数字は、個々のサイトがスパムと判定されたことを意味しない。Diib自身もそう断っている。

もうひとつ、メディアにとって見逃せない注記がある。Google Analyticsでは、Discoverからの訪問がすべて検索として計上されるとは限らない。Discoverに流入を頼るメディアほど、この5.8%の外側にいる可能性がある。

二つ目の数字 DiscoverとGoogle ニュース

9月30日に、海外のサイト運営者から、DiscoverとNewsの流入が消えたという書き込みが相次いだ。10月4日以降も、Discoverが急落したという声と、戻り始めたという声が同時に出ている。

Googleは今回、Discoverについて何も発表していない。スパムアップデートがDiscoverの仕組みを直接変えたと言える材料はない。ニュース系のメディアにとって、この二週間の変動はWeb検索だけを見ていても掴めない。

Search Consoleでは、Web検索、Discover、Google ニュースのレポートが分かれている。三つを別々に開いて、全体のPVを見て「20%落ちた」と言っても、何も分かっていないのと変わらない。

三つ目の数字 落ちていなかった順位

9月26日ごろから、もうひとつ別のことが起きていた。SEOmonitorによれば、Googleが自動化された検索に対して、不完全で誤った結果を返すようになった。多くの順位計測ツールがそれを拾い、急な下落を表示した。

実際に検索している人の画面では、その下落は起きていなかった。

本当に落ちたサイト、ツールの上でだけ落ちたサイト、そしてDiscoverだけが減ったサイト、とこの三つが、同じ二週間に存在していた。SEOmonitorは、スパムアップデートによる変化なら数日にわたって続き、Search Consoleの表示回数とクリックにも表れると説明している。

順位表を開く前に、Search Consoleを開く。この順番を逆にすると、存在しない下落の対策に時間を使うことになる。

何が落ちたのか、の次にやること

落ちたのが本物の検索流入だと分かったら、次はページ群に分ける。

記事、カテゴリ、タグ、著者ページ、サイト内検索結果、転載記事、タイアップ記事、テンプレートで量産したページなどなど、サイト全体では10%の減少でも、特定の種類のページだけが70%落ちていることがある。そこまで分かって、初めてGoogleのスパムポリシーと照らし合わせる意味が出てくる。

テンプレートで量産したページが落ちていたなら、見るべきは「大量生成されたコンテンツの不正使用」だ。Googleはこれを、検索順位の操作を主目的として、ユーザーにほとんど価値のないページを大量に作る行為と定義し、作り方は問わないと明記している。生成AIはその例のひとつにすぎない。人間が書いていても対象になり、AIを使ったというだけで違反になるわけでもない。転載記事や外部ライターの記事が気になるなら、先に「手動による対策」レポートを開く。

サイトの評判に関するポリシーは、他のニュースメディアから配信された記事、コラムや論説、読者に届けることを目的にしたネイティブ広告を、違反に当たらない例として挙げている。このポリシーは人による審査を経て運用され、対象になればSearch Consoleに通知が届く。通知がないのに、転載記事を慌てて消す理由は薄い。

タイアップ記事には、別の確認がひとつ要る。対価を受け取った記事の中に、rel=”sponsored”やnofollowの付いていないリンクがあれば、それはリンクスパムのポリシーに触れる。問われるのは記事の形式ではなく、リンクの扱いだ。

以前このコラムで「記事の存在理由」について書いた。なぜこのページが、このメディアにあるのか。編集部がその問いに答えられるページなら、AIを使ったから、外部ライターだから、転載だからという理由だけで消す必要はない。キーワードがあるという理由だけで作られ、誰が書いても同じになるページが何千本も並んでいるなら、話は別だ。そこが棚卸しの対象になる。

直すのは、その後でいい

Googleは、スパムアップデートで影響を受けたサイトに対し、スパムポリシーを確認するよう案内している。修正しても、システムがそれを学習するまでに数か月かかる場合があるという。

落ちた翌日にタイトルを書き換える必要はなく、記事をまとめて削除する必要もない。やることは、数字を分け、落ちたページの共通点を探し、それから直す、だ。

やることは地味。アップデートのたびに慌てずに済むかどうかは、平時からこの切り分けができる状態にあるかで決まる。


ヴィヴァルディ・インクでは、Search ConsoleとGA4のデータをもとに、Web検索、Discover、Google ニュースの流入をページ群とテンプレートごとに分解し、何が、どこで落ちたのかを特定しています。

9月24日以降に検索流入やDiscoverが落ち、原因を切り分けられていないメディアの方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。対象サイトのURLと、気になっている時期を添えていただくと話が早く進みます。

文:脇谷怜生弥(わきや れおね)
ヴィヴァルディ・インク株式会社代表取締役。株式会社サイゾー取締役時代には、グループ15媒体、月間最大3億PVのメディア群を統括。現在はWebメディアや企業サイトを中心に、SEO・AIO、広告運用、サイト保守などの支援を行っている。